競艇の楽しみ方〜番外編 (競艇ボートレースにおける「決まり手」と、2コースの戦法に変化?) 〜競艇検証.comの競艇コラム
目次
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競艇ボートレースにおける「決まり手」と、2コースの戦法に変化?
【検証】各コースの基本的な「決まり手」
競艇ボートレースにおける「決まり手」というのを知っているだろうか?1着の選手がどのようにして勝利を収めたのかを示すものだが(相撲の決まり手みたいな感じで)その決まり手には全部で6種類ある。
・逃げ
・差し
・まくり
・まくり差し
・抜き
・恵まれ
これは基本的には1周目1マーク時の戦法を指しており、道中での抜きや、1着選手のフライング等による繰り上がりでの1着の恵まれを除いては、その戦法はコースによって決まっている。
例えば1コースの選手であれば、逃げ以外の選択肢はないし、逆に言えばその他のコースの選手において逃げ勝ちは存在しない。
そして、3〜6コースの選手に関しては全て同じで、差し・まくり・まくり差しの3択である。
この中でポイントとなってくるのは2コースであろう。
「まくり差し」というのは、まくって差すという2つの戦法を組み合わせているため内に最低2艇いないと成立しないので、差しとまくりの2つの選択しかない。
2つしかないとなれば、どちらも半分ずつくらいの割合で行われているのかと思うかもしれないが、実際のレースをたくさん見れば一目瞭然で、そのほとんどが「差し」を選択する。
つまり2コースのセオリーは「差し」であるという事なのだ。
しかし、このボートレースファンであれば誰しも知っているであろうこのセオリーに、最近少し変化が出ているようなのだ。
2コースまくりが増えているのだ。
それはどういう事なのか?
今回詳しく掘り下げてみたいと思う。
【検証】差し・まくりの割合が変化
まず2コースにおけるまくり率の変遷を見て欲しい。《2コースのまくり率》
2016年 | 25.4% |
---|---|
2017年 | 25.2% |
2018年 | 24.5% |
2019年 | 23.7%(一番低い) |
2020年 | 24.4% |
2021年 | 25.7% |
2022年 | 27.4%(2月までの2ヶ月) |
このような感じである。
感覚としてはもう少しまくりの割合が全体的に低いのかな?と思っていただけに、意外と高いなという印象である。
ここ近年で一番低い時でも約24%あるのだから驚いた。
まぁしかし4レースに1レースという割合から考えれば、圧倒的に差しが多い状況に変わりはない。
そんな中で2019年以降はまくり率が右肩上がりで上昇しているのだ。
2022年に関してはまだ途中ではあるが、その上昇率は凄く、一気に約2%も上昇している。
このまま30%近くまで伸びそうな勢いである。
もし30%までまくり率が増えるとなれば、もはや2コースを差しだけと決めつけるのは相当危険であり、予想を根本的に変えなくてはいけないかもしれない。
「差し」と「まくり」ではレースの展開が全く変わってくるからだ。
【検証】なぜまくりが増えたのか?
ではなぜまくりが増えているのだろうか?確定的な理由は分からないが、ある程度要因を推測する事が出来る。
選手自身が全体的に伸びを意識した調整にシフトしているからではないだろうか。
現在の伸び調整はトレンドになっており、「藤山翔太」「菅章哉」「高田ひかる」などはその代表的な選手である。
この3選手は伸び仕様にして以降、成績が右肩上がりで伸びはじめ、遂には艇界の最高峰レースSGにも出場できるようになった。
この流れから伸びるように調整して、2コースから自ら攻めるレースをする選手が増えたのだと思う。
そしてもう一つ。
インコースの選手に脅威を与える事ができるというのも要因ではないだろうか。
2コースの選手は基本「差し」、これはファンだけでなく選手もそう思っており、インの選手に関しても2コースへの対応としては差しを警戒するだけでいい。
しかし「まくり」もあるかもしれないと思わせる事ができれば、そこを意識してインの選手は2コースの選手を張ったようなターンをするかもしれない。
そうなれば、ターンマークが大きく開くので、差し切る事もより容易に出来るようになる。
そういう意味で、2コースからまくりの可能性もあると思わせるのが重要であるし、実際にまくっていく姿を見せるという意味もあるのだろう。
これはインコースの勝率が高くなり過ぎた反動なのかもしれない。
2コース差し、3コースまくり、4コース差し、5コース差しかまくり差し、6コース差しという定番の「セオリー通り」のレースに選手自身も飽きており、この状況を打破して行こうというマインドが働いているようにも思える。
これが2コースまくり増加の主な要因では無いだろうか。
【検証】主な選手の2コース戦法
全体の流れとしては「まくり」が増えているのだが、選手によっては2コースの戦法が顕著な選手もいる。特徴ある選手を紹介したい。
まず、伸び仕様のトレンドを作った3選手、藤山・菅・高田である。
藤山・菅・高田の場合(2コース戦法)
名前 | まくり | 差し |
---|---|---|
藤山翔太 | 90.9% | 9.1% |
菅章哉 | 80.0% | 20.0% |
高田ひかる | 75.0% | 16.7% |
やはり「まくり」が圧倒的に多い。
2コース「差し」がセオリーであるというのを、一瞬忘れてしまいそうになる数字だ。
銘柄級の選手はどうか?
銘柄級の選手の場合(2コース戦法)
名前 | まくり | 差し |
---|---|---|
佐藤翼 | 59.1% | 40.9% |
田頭実 | 58.6% | 35.7% |
菊池孝平 | 42.1% | 42.1% |
瓜生正義 | 20.0% | 77.9% |
峰竜太 | 20.0% | 70.9% |
馬場貴也 | 6.7% | 86.7% |
辻栄蔵 | 5.0% | 70.0% |
これを見れば分かるのだが、本当に選手によってはっきりと差が出る。
佐藤や田頭などは積極的に攻める選手で有名なのだが、2コースでも果敢にまくっていくのが分かる。
その一方で、馬場や辻は「差し屋」として有名であり、2コース時もほとんど差し一本で勝負している。
瓜生や峰は平均辺りといった所だろうか。
菊池に関しては、戦前からまくりにいこうとするケースの他に、スタートが早く決まったために、結果的にまくっていくというのも多々ありそうである(菊池は艇界でも1.2を争うスタート巧者)。
そして最後に意外なデータをお伝えしたい。
驚きのデータ(2コース戦法)
名前 | まくり | 差し |
---|---|---|
平尾崇典 | 0.0% | 100% |
これには驚いた。
平尾崇典と言えば、まくり屋のイメージが強いのだが、2コース時には必ず差しを選択している(過去1年だが)。
その他のコースではまくり勝ちの方が差し勝ちより多い選手だけに、意外である。
唯一と言ってもいいくらいに、2コース時の戦法が自身のスタイルと真逆の選手であるので、この事実だけは覚えておくといいだろう。
とにかく2コースまくり率が急上昇しているので、今後は舟券の予想を行う上でも、そこも考慮しておく必要があると思う。
「2コース=差し」と決めつけていると、その内痛い目をみるかもしれない。
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